Vintage辞典-Contents-
2017-3月
現在、表参道で期間限定で開催されている、
「エルメスの手しごと」
を見学してきましたので、レポートにします
まずは・・私の大好きなスカーフを手掛ける職人さん達
3.シルクスクリーン製版職人
スカーフ造りの第一関門、まずはデザインを形にします
女性の職人さんが見つめる先には、モニターが
これは実物大の手描きの原画をデジタル化しています
近年では、アナログとデジタルを上手く使っているのですね。
(前まではトレーシングペーパーで写していました)
輪郭線をトレースした後、タッチペンで全ての色、濃淡やぼかし、素材ごとの各種効果を写し取っています
何が驚きって、
デザインを色別に分解し、一枚のスカーフに含まれる色と同じ数のトレースを創り出すこと
私もお世話になっている、photoshopを巧みに使ってデザインをトレースしています
この時トレースしていた、兜の複雑なデザインは44色が使われているということなので、44枚のフレームが必要になります
全て仕上げるのには、
400~600時間かかるそうで
さらに複雑なデザインだと最大2000時間かかることもあるそうです
そして、製版が出来上がると次は・・
4.シルクスクリーンプリント職人
何枚もの製版を一枚一枚、こちらも手作業で版画のように色を重ねてプリントしていきます
最初は真っ白なシルクツイル地・・
これを作業台にピンと張り、そこにメッシュと呼ばれる薄い布を張ったフレームをのせます。
そこに調合された一色目のインクを流し込み、ゴム製のスクイージーという道具で広げます
裏には調合されたエルメスカラーが
(既製品の染料を調合し、エルメスだけの色を作る調合師も必見です )
フレームの一部ですが、順番通りに並んでいます
番号と色の名前が書かれていますね
(このフレームとても重いので、男性の仕事だそうです)
一色ごと、細かいデザインは幾つかに分けて順番通りに工程を繰り返すことで、シルクの生地を美しく彩っていきます
この技法は1930年代にリヨンで始まった「フラットフレーム」という技法で、今でも変わっていないということです
こうして、大変なプリント作業が終わったら、乾かし、色止めをし、洗浄を行い、完成まで間近です
最後に、正方形のスカーフを美しく仕上げを施すのは・・
5.縁かがり職人
細部まで行き届いた正確なテクニックが要求される、この技。
細く短い針で、エルメスで自社開発したシルクの糸を使って、器用に縫っていきます
裏側を上にして、内側へくるりと指で巻き込む、「ルロタージュ」というフランス特有のシルクのドレスの裾などにも使われている技
約1cmの感覚は、職人さんの感覚によるものだそうで・・
糸はシルクの内側に滑り込み、縫い目が表面に見えることはありません
それに、
玉結びはしないそうで、縫い目の終わりはまた糸を重ねて解けないようにしているそうです
美しい縫い目は、機械のようで・・でも決して機械では実現できない繊細な仕上がり
縁巻きの部分は潰れずに、巻いたままの形です!
このテクニックをこなせるようになるには、少なくとも
1年の歳月が必要とのことで、シルク以外のカシミアやシルクモスリンなどの様々な素材も手掛けるには更に長い年月が必要らしいです
ちなみに、この女性の職人さんは、5年目のベテランです
45分ほどで一枚のスカーフの4周に均一に針目が並ぶ巻き縫いを完成させていましたよ
(ベテランの方でも、1枚45分かけて縁がかりをするのです・・)
早く仕上げるより、美しいものを創ることが大切なの。
と職人さんがおっしゃていて惚れてしまいました
最後に、品質表示、生産国、クリーニング法が書かれたタグを縫い付けて、やっと・・
スカーフの完成です
デザインから、完成まで2年もの年月がかかるそうで
何人もの職人さんの手が加わった、最高のスカーフなのです
ちなみに、白タグと黒タグの違いを質問してみたのですが、
スカーフの色で合わせているのではなく、コレクションによって
分けているとのこと。
毎回パリの方から指示をされるので、縁がかり職人さんには
わからない!と言われました
そして少しでもプリントがずれたり、縁がかりが上手くいかなかったものは、処分してしまうそう・・
大変です
エルメスのスタッフさん全員がステキに身につけていたスカーフ。
みんな違う巻き方で オシャレを競っていました
Rococoでは、Vintageのステキなスカーフを販売しております。
6.時計職人
正確な時を刻み続けるためのとても精密な作業をしています
何百もの、とーっても小さな部品は、100分の1ミリ単位の精度でかみ合うことが要求されるのだとか
職人さんはルーペを目に付けて、ピンセットで巧みに
部品をセットしていきます
気の遠くなるような作業、、これも手作業ということなので驚きです
以前はパリに工場があったのですが、現在は時計産業の聖地、スイスに移動しているそうです
バンドの裏に製造年のマークが刻印されております 製造年表
10.石留め職人
こちらは、ジュエリーに宝石を固定する宝飾品の職人さん
この時は、ダイヤモンドが何千個もついた豪華なブレスレットを制作していました
土台の金属には工具で小さな穴があけられ、細いピンセットを使い、宝石を穴に設置していきます・・
穴の周りにはグレインという爪があり、爪を宝石にかぶせるように折り返して宝石を固定させます
接着剤は・・使わないのですね
出来上がったブレスレットは2500粒以上のダイヤモンドが隙間なく埋め込まれており、まるで全体が一つのダイヤから切り出されたかのよう・・
美しい・・
これは250時間以上でやっと完成するそうです
顕微鏡を使って、一つ一つ丁寧に埋め込んでいくその作業は、まさしく神業!
ヒルズのディスプレイも素敵
素材が姿を変えてオブジェとして美しく生まれ変わっていくさまを生で見られる貴重な体験ができました
実際に見て驚いたことは、そんなところも手作業でやっていたんだ!ということ
エルメスはお高く止まったブランド・・と思ってしまいがちですが、
そこには時間・素材・道具・才能・感性そして・・熟練した職人の手があったのです。
エルメスに興味がない方でも、職人技として一度は目にしてもらいたいものだなと思いました。
ものに対する思いが、これをきっかけに変わったような気がした1日でした
ロココではHERMESのエスプリが詰まった、
美しいVintageアイテムを多数揃えております
→ 「エルメスの手しごと」展 バッグ編
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