NINARICCI（ニナリッチ）の歴史

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「NINARICCIニナリッチ」は1932年、イタリア人のマリア・ニナ・リッチ（Maria Nina Ricci）が息子ロベール・リッチと共にパリで始めたブランドです。マリアがデザイン、ロベールは経営を担当していました。
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マリアは服を作る際にデッサンはせず、生地を直接顧客の身体に合わせながらカットやドレープを施していきます。その独自の技術は女性の魅力を最大限に引き出すものでした。彼女の作る服は世間から完璧なシルエットと賞賛され、「彫刻家」と呼ばれるようになります。その洗練されたフェミニンなスタイルで彼女はたちまち有名になりました。

やがて第二次世界大戦が終結、暗い時代が終わった1945年。国の資金調達のためデザイナー達は、女性が美しく、ファッションにお金を使っていた頃を再興するよう命じられます。この頃ロベールに経営を譲りマリアはデザインに専念。ロベールにはある壮大なアイディアがありました。シャンブル(Chambre)代表のルシアン・ルロンと共にバレンシアなど40の同業ブランドから借りた150体以上のマネキンを用意しブランド選りすぐりのオートクチュールを着せ、ルーブル美術館で華々しいファッションショーを行ったのです。ショーは高く評価され盛大に幕を閉じました。その後ヨーロッパ各地、ついにはアメリカでも開催されニナリッチの名を世界に知らしめる事になります。

才能あるマリアと才覚があるロベール 1946年には私たちに馴染みの深い香水部門を立ち上げます。

記念すべき初めての香水は「喜びの心」という名の「クール・ジョア」その後、ニナリッチ最大の代表作である「レール・デュ・タン」を発表「時の流れ」を意味するこの香水はガラス工芸の巨匠ルネ・ラリックが手がけた二羽のハトのデザインが有名でカーネーション、ガーデニアをベースにした上品な香りは現在でも愛され続けています。映画「羊たちの沈黙」でジョディーフォスター扮するクラリスがつけていたことでも有名に。

その後、いくつもの航空会社の制服がニナリッチによってデザインされました。そして1950年代に入り高齢のため活動を控えていたマリアは1959年になり正式に引退。新たなデザイナーにベルギー人のジュール＝フランソワ・クラエーが就任、1963年ランバンに移籍したため、ピエール・バルマンで働いていたジェラール・ピパールをチーフデザイナーに迎えます。他のブランドからもオファーがかかっていた引っ張りだこの彼はニナリッチをさらに飛躍させました。

1970年に入り偉大な創業者マリア・ニナ・リッチがこの世を去ります。ピパールがブランドの総帥になり、ロベールは香水部門に全力を注ぎ1988年に亡くなるまで数々の名香を残しました。同年、マッシモ・グイッサン家がクラエーからニナリッチを買収。マッシモ・グィッサンはデザイナーとして仕事をしたが、1999年から数年間、ナタリー・ジェルヴェがチーフ・デザイナーを務めました。

2002年5月、アメリカ人ジェームズ・アギラルがチーフ・デザイナーに就任。

2003年、チーフデザイナーにスウェーデン人ラース・ニルソン就任。辛口の評価で迎えられます。2006年9月にベルギー人オリヴィエ・ティスケンスがチーフ・デザイナーに就任。

2009年、ピーター・コッピングがアーティスティック・ディレクターに就任。

同年、アメリカ大統領就任式において、通常スーツを着るはずの場面を大統領夫人ミシェル・オバマはあえて破りニナリッチのカーディガンを羽織って登場。ファーストレディのイメージを親しみやすいものにしました。

このニナリッチのカーディガンは山形の糸製造会社「佐藤繊維」が開発したニット素材から作られています。この会社の開発した糸を初めて見たニナリッチ担当者は「日本企業には創造力のある製品は作れないと思っていたがその考えを改めなくては」と驚きの声をあげたそうです。佐藤繊維は現在ではニナリッチを始めシャネルとも取引をしています。